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東洋医学の治療法~どうやって施術内容やツボが決まるの?~

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こんにちは。

東洋医学、鍼灸施術といえば
あまり詳しくない方でも、
ツボに鍼を打ったりお灸をすえたりして
治療をするといったイメージは浮かぶと思います。

今回は、その

経穴(ツボ)を使った治療はどのように行っていくか

のお話をしていきたいと思います。

目次

【経穴(ツボ)】

そもそもまず経穴とは・・・

名称を持ち部位が定まっているもので
十四経脈(※下記参照)に属しています。

経穴は疾病の際になんらかの反応を示す点です。
そして施術の際に治療をするポイントでもあります。

経脈を通じて、臓腑と関連があり、
機能的な繋がりを持っていると考えられています。

疾病の際の反応点でもあり、
診断点や治療点でもあるのです。

【経絡(けいらく)】

※十四経脈とは、
正経十二経脈・督脈・任脈を含めた経脈です。

経脈とは・・・
人体の縦の方向に走行するものを指します。

経絡とは・・・
経脈と経脈を連絡し、
経脈から分かれでる細い脈を指します。

経絡は、身体の内(五臓六腑)と
外(外部環境)を結ぶ道であり、
気・血や病の原因である邪気が
移動する道でもあります。

【選穴(せんけつ)】

よく「こんな症状が出ている時にはこの経穴を使う」
「この経穴を刺激すれば〇〇が治る」
といった情報を目にすることがあると思います。
(例えば、【腹痛には足三里】など) 

しかし、全て「〇〇(症状)ならこの経穴」と
決まっている訳ではありません。

色々な症状や体質に対して、
患者さんにあった経穴を決め
施術していくことが私たち鍼灸師の仕事なのです。

そして選穴(経穴を選ぶこと)は
いつも適当に行なっている訳ではありません。

いくつかの治療原則を基に
経穴を選び施術を行います。

皆さんに、東洋医学を身近に感じて頂く為にも、
東洋医学の治療原則について説明していきます。

【治療原則】

  1. 本治(ほんち)と標治(ひょうち)

    東洋医学には、
    本治法と標治法というものがあります。

    疾病の本質に対処する治療、
    根本から治していくものを本治法といい、

    疾病の現象に対処する治療、
    その時の症状を緩和させるものを
    標治法といいます。

    簡単にいうと、痛みのある部分や
    周囲に鍼を打ち痛みを取るもの標治法です。

    そして痛みのある局所以外にも、
    全身を施術し、身体の不調を
    根本から整える方法
    本治法です。

    そして疾病の程度や緩急に応じても、
    本治・標治のどちらで
    施術しなければならないかが変わります。
  • 急なれば則ち、その標を治す

    これは大出血、痰が気道に詰まったもの、
    二便不通(便や尿が出ないもの)などの急性、
    あるいは致命的な症状がある場合にまず、
    これらの対処をするという意味です。

    これらの状態が改善した後に、本治法に移ります。

  • 緩なれば則ち、その本を治す

    これは一般的な不調の場合には、
    本治法を施すという意味です。

    なぜなら、本を治すと標は
    おのずと解決するものが多いからです。

    例えば、肩凝りが起こっている場合で考えてみましょう。



    標は、疾病の現象の肩の凝りです。
    本は、姿勢不良や高血圧、冷え性など
    様々な場合が考えられます。

    この場合、姿勢不良や高血圧、
    冷え性といった原因を改善することで
    肩凝りに効果があります。

  • 標本同治

    標本同治とは、
    標本を同時に治療することです。

    標と本がお互いに影響しあい
    先に一方を解決しづらい場合、
    標本がともに急あるいは緩である場合、
    標病の治療が本病の治療に有利に作用する場合、
    または標病の治療が本病の治療に
    影響しない場合などには、
    標本同治がよく採用されます。

この3つの方法を上手く使い分けながら
治療をしていくものを本治法、標治法といいます。

聞きなれない言葉が多くあると思いますが、
何となくでも理解して頂けましたでしょうか。

では、その他にどんな治療法があるのかさらに書いていきます。

  1. 陰陽の調整

    この世の中にあるものは
    全て陰と陽で出来ています。

    人体もそうです。

    人体の陰陽のバランスが崩れてしまうと
    疾病が発生します。

    陰が有り余っている時は
    陰を瀉し(減らすこと)、
    不足の時は補うというのが基本です。
    これによって相対的なバランスの回復をはかります。

    鍼灸による陰陽の調整は、
    経絡、経穴、鍼灸手技によって行われます。

  2. 補虚瀉実(ほきょしゃじつ)

    補虚とはエネルギーを補うことであり、
    人体のエネルギーが不足している場合に
    用いられる方法です。

    このエネルギー不足には、
    血液や体液の不足、
    五臓六腑の機能の減退などが含まれます。

    瀉実とは体内の邪気(痰などの身体に不要なもの)を
    除去することであり、
    これは人体に邪気が存在している場合に用いられます。

    東洋医学では「邪」を
    『身体の陰陽・気血水・五臓六腑による
    バランスの崩れ以外の発病の原因』
    と考えられています。

    簡単にいうと、季節や天候、環境などの
    外的要因による体調不良の原因です。



    種類には、風・寒・暑・湿・燥・火などがあります。

    これらを取り除くことで正常な状態に導きます。

  3. 証に基づく治療

    同じ疾病であっても
    病気の原因の違い、
    患者さんの体質の違い、
    疾病の段階の違いにより
    異なる証が出現します。

    証(しょう)とは東洋医学のおける
    診断名のことです。

    その証に基づいて、
    それぞれ異なった治療方針が立てられます。

    同じ疾病や症状であっても、
    証が異なれば治療方法や使う経穴も変わります。

    またそれとは逆に、
    異なる疾病であっても証が同じであれば、
    似たような治療方法になることもあるのです。

    例えば、腎虚証

  4. 人、時、地に応じた治療

    これは治療にあたっては、
    疾病自身をみるだけでなく、
    その人の体質や年齢、自然界の季節や気候、
    地理環境、生活環境、社会環境などに
    注意を払うということです。

    人に応じて、時に応じて、地に応じて
    適切に対処しなければならないという
    治療原則です。

上記に上げた本治法と標治法、
陰陽の調整、補虚瀉実、証に基づく治療、
人・時・地に応じた治療、
この5つが東洋医学における主な治療原則です。

【判断方法】

また、これらを判断するためには
患者さんの様子を診るための
診断法が重要です。

それを四診法といい
「望診・聞診・問診・切診」
の4つからなります。

患者さんの自覚症状を中心に、
術者は五感をフル稼働して
患者さんの訴えを身体から聞き取り、
または感じ取り、証を立てます。

  • 望診・・・
    患者さんの姿勢や歩き方、
    体型、顔や皮膚の色つや、
    舌(舌診)、髪や爪の状態などを観察します。
  • 聞診・・・
    患者さんの呼吸の様子、声の感じ、
    または体臭や口臭などを嗅いで
    身体の情報を収集する方法です。

    あえて「はあ〜っとしてください」
    とは言いませんし、
    クンクンするわけではなく、
    切診や問診中などで接していて
    感じられる程度の物を記録します。
  • 問診・・・
    患者さんの主訴を第一に
    さまざまなことを質問します。

    西洋医学でもされるような
    治療前の質問はもちろん、
    治療中も一見関係なさそうな
    世間話を続けながら、

    実は今回の症状や
    体質の原因となりそうなことはないか、
    いろいろなことを確認します。
  • 切診・・・
    手首の脈や腹部の状態を直接触って、
    その状態を確認します。

こうして一人一人のタイプを把握し
施術内容を決めていくのです。

このような様々な原則に基づき、
時には応用し、
西洋医学の知識とも組み合わせつつ

私たち鍼灸師は患者さんの症状が
少しでも良くなるように治療を行っています。

今まで東洋医学的な治療法といっても
想像がつきにくいものだったと思います。

使う経穴一つ、
このような原則に当てはめながら
決めていたりするのです。

この記事を読んでみて、
身近にいる鍼灸院の先生たちが
どのように治療を組み立てているのか
興味を持っていただけると嬉しいです。

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