漢方薬と生薬

2019.09.11

◇◇漢方薬と生薬◇◇

皆さんは漢方薬のお世話に
なったことはありますか?

風邪や、花粉症、便秘、生理痛や更年期障害
その他なんとなくの不調で処方されたり
服用経験がある方は今や結構多いのではないかと思います。

一昔前より確実に身近な存在になりつつある
漢方薬ですが、
そもそも漢方薬って何が原料なのでしょうか。
漢方薬とは
「数種類の生薬を一定量の配合で組み合わせたもの」をいいます。

では、生薬ってなんでしょう。

生薬の原料は植物…だけではないのです。
実は、生薬の原料となっているものにはこんなものがあります。
•植物(葉、茎、根、実、種、花、つぼみ、樹皮など)
•動物(角、皮、分泌物、内臓、特定の部位、骨など)
•貝殻、鉱石など
ちょっと意外なものの具体例は

•石膏

•鹿の角

•牛の胆石

•古代哺乳類の骨や歯の化石

•タツノオトシゴ

•ヒトの胎盤
などがあります。
(高価なので、一般的にはあまり使われていません)

 

本場中国では700種類以上の生薬が手に入ると言われていますが
日本で手に入るのは約350種類程。

これは日本で使われている生薬は
日本漢局方に記載され
医薬品としての安全性
有効性が認められたもののみだからです。
日本基準でのチェックが行われている
安心、安全な漢方薬。
体調不良や、お医者さんに勧められた時には

選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

ここでは、クリニックなどで処方されやすい漢方薬、

またはよく使われる生薬についていくつかご紹介してみたいと思います。

 

◇漢方薬◇

 

【葛根湯(かっこんとう)】

日本で漢方薬と言えば、一番最初に思い浮かぶのがこの葛根湯かもしれません。
皆さんも1回や2回は試されたことがあるのではないでしょうか?
漢方薬のバイブルと言えば「傷寒論(しょうかん論)」。
後漢の時代(200年頃、1800年以上前!)に書かれた医学書ですが、これには「葛根湯」についてこう書いてあります。

「太陽病、項背強ばること几几、汗無く悪風するは葛根湯之を主る」

「太陽病」で
・首筋から背中(特に上半分)のこわばり
・背中がゾクゾクする
・風にあたると悪寒がする
・頭痛、節々または筋肉が痛い
・汗はかかず、皮膚はサラッとしている
などの症状で、これには葛根湯が良いよ。というようなことをこの一文で説明しています。

この症状、思い当たることがありませんか?
そう、まさしく風邪の初期症状。

「葛根湯」が効くのは「風邪かな」と感じた時、上記の症状が出ているときなのですね。

特に体力がある人に向いているそうです。
薬局で葛根湯の液体薬が3本セットで販売されているのを見かけたことはありませんか?
あれは「3回分しかないのかー」ではなく、「3回飲んでも回復しなかったらもう葛根湯の出番ではないよー」ということなのです。

そして、この「葛根湯」、今では風邪の漢方薬として有名ですが決して風邪だけのお薬ではありません。
「葛根湯」は「太陽病」のお薬。
風邪の初期症状に効くのは「太陽病」にあてはまるからです。
病の初期段階で、病因が浅いもの、体質や症状の出方が「太陽病」にあてはまれば、様々な症状に効くのです。
・肩コリ、頭痛
・花粉症、鼻炎
・朝の手指のこわばり
・関節痛、筋肉痛
・インフルエンザ
・自律神経失調症
など幅広く処方されています。

市販されている「葛根湯」には重篤な副作用はないようですが、

「葛根湯」は「桂皮湯」という弱い発汗作用があるものをベースに

葛根と強力な発汗作用を持つ麻黄を加えたものなので、

体力が無い人やお年寄り、既に発汗している人

服用すると体力の消耗が激しくなったり、脱水の危険もあります。
他にも注意を要する場合がありますので、心配な方は薬剤師さん漢方医さん、お医者さんにご相談下さい。

 

 

 

【防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)】

「一年中むくみがヒドイ」というお悩みを
よく聞きます。

むくむ原因については、筋肉との関係や食べ物、

水分の摂り方など、むくみで悩まれたことが
ある方ならすでにご存じだと思います。

東洋医学でもむくみについては体質的に
いくつかのパターンに分類することができ、
鍼や灸をその体質に合わせて施しますが、
クリニックで「むくみが気になる」というと
よく処方されるものの中に
「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」という
有名な漢方薬があります。

 

「防已黄耆湯」の中に含まれる「黄耆(おうぎ)」は、
中国原産のマメ科・多年草のキバナオウギ、
ナイモウオウギの根の部分を乾燥させたものです。

主に利尿作用や強壮剤として漢方薬に使われ、
止汗や排膿、血圧降下の作用もあります。

2000年以上の昔から補気強壮剤(エネルギーを
補給する、消化吸収を助ける、というようなもの)
として重宝されてきました。

 

この黄耆、実はハーブとしてもとても有名です。
ハーブとしてはアストラガルスと呼ばれ、
近年では免疫力を上げる、ホルモンバランスを
整える、抗菌・抗ウイルスなどの作用について
研究がなされています。

また中国では、ガン治療の際に放射線や化学療法と
併用してアルトラガルスなどのハーブを処方し、
免疫機能の低下防止や、回復力の向上などに
役立てられています。

2000年以上の昔から身近な薬草として
使われてきたものが、現代の最新医療と
併用してまた人を助けるようになるなんて、
ちょっとロマンを感じますね。

さて「防已黄耆湯」には黄耆の他に
・防已(ぼうい)…鎮痛、利尿作用
・白朮(びゃくじゅつ)…健胃作用
・大棗(たいそう)…利尿、強壮作用
・甘草(かんぞう)…鎮痛、解毒作用
・生姜(しょうきょう)…健胃作用など

が含まれています。

水の代謝に必要な体の各機能の働きを助け、
停滞している余計な水を流れやすくする、
代謝を促すという漢方薬です。

むくむ原因は人それぞれ違いますから、
むくみ対策として漢方薬をお考えの方は
漢方医さんやお医者さんとよく相談してください。

 

 

【小青竜湯(しょうせいりゅうとう)】

「小青竜湯」は、薄い水様の鼻水、水様の痰、鼻閉、くしゃみ、流涙、喘鳴、咳などに効くとされています。
そう、花粉症などでよく処方されているようです。

・麻黄(マオウ)…エフェドリン類(交感神経刺激薬)が含まれ、咳や喘息、喘鳴を抑制

         ※眠くならずにスッキリ。

・桂皮(ケイヒ)…弱めな発汗作用、発散作用
         ※シナモン。温める生薬。

・芍薬(シャクヤク)…疼痛緩和、鎮静
           ※花は「立てばシャクヤク座れば牡丹…」の芍薬。
            根が生薬。 

・半夏(ハンゲ)…咳や痰、喘息など。胃が弱い人
         ※サポニンを多く含む→コレステロール吸収抑制作用。

・五味子(ゴミシ)…滋養強壮、咳、漏れ出るものを防ぐ
          ※お茶にすると五味(甘、酸、辛、塩辛い、苦)が味わえる。

                                     子宮や疲労回復、吹き出物などに良い。

・細辛(サイシン)…鎮痛、解熱、咳
          ※葉は園芸用。

・乾姜(カンキョウ)…冷えをとる
           ※湯通し、又は蒸した生姜を乾燥させたもの。

・甘草(カンゾウ)…解熱、解毒、咳、痰など
          ※漢方薬ではよく使われる。薬の苦味消しなどにも。
           化粧品などではグリチルリチン酸ジカリウム(抗炎症剤)として含まれる。

 

の8つの生薬で作られています。
この生薬たちがそれぞれの効果を調整、増強し合ってさらに効果を上げることになります。
簡単に言ってしまうと、水の停滞をとり、温めて発散させるというお薬です。
鼻かぜなどでも処方されることがあります。

ただ、漢方薬のバイブル「傷寒論」には、

小青竜湯は「傷寒」つまり「高熱を伴う急性の疾患」

で上記の症状があるものに効く、と書いてあります。
花粉症が急性の高熱疾患かどうか、というところに疑問が持たれているようですが、

西洋医学的には「麻黄」の交感神経刺激薬的な効果も

「小青竜湯」にステロイド様の薬理効果があることも認められており、

一部の漢方医には「花粉症に小青竜湯は効かないのではないか」という意見もある中、

西洋医にはその効果が認められているという、珍しい漢方薬の一つです。

東洋医学が目指す、体質の根本に効くかどうかは別として、

鼻水や涙が止まらない、などの症状に特に効果を発揮するそうですので、

鼻水や涙が出てしょうがない!という方は試してみる価値があるかもしれません。

この「小青竜湯」も体力が無い人、汗っかきの人には向きません。
循環器や、甲状腺の疾患、その他持病のある方は薬剤師さんや漢方医さんにご相談下さい。

 

 

◇生薬◇

【芍薬(しゃくやく)】

芍薬は初夏になると白や紅色のボタンに

よく似た美しい花が咲きます。

生薬は根の部分を使います。

芍薬の効果として

・筋肉の痙攣緩和

・血管の働きを良くする

・肝臓の機能調節

・造血作用の促進

冷えや生理不順といった女性疾患を改善して

くれる漢方薬として有名な当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

の中にも芍薬が用いられています。

また芍薬といえば

 

「立てばシャクヤク、座ればボタン、歩く姿はユリの花」

 

女性の美しい容姿を例えた有名なことわざです。

しかしこのことわざには別の意味もあります。

シャクヤク・ボタン・ユリの持つ効能を

それぞれ表しているのです。

シャクヤクは肝のトラブルを治し、ボタンは

血の巡りを改善、ユリは精神を安定させる働きを

持っています。

すぐ腹を立てたりイライラしてしまう人には

シャクヤクを。

血の巡りが滞りだるさを感じている人にはボタンを。

神経衰弱で頼りなさげな人にはユリを飲ませると

よいです、という漢方の効能を表しています。

上記に当てはまる方はぜひ漢方医さん、お医者さんにご相談ください。

 

 

【当帰(とうき)】

漢方の世界では「十中八九当帰入り」と言われるほど重用されている「当帰」。
特に女性向けの漢方薬には非常によく使われています。

「当帰」はセリ科の多年草で、生薬として使われるのは、その根っこの部分、

基本的には湯通し後に乾燥させてから使います。
先端(下部)は血流促進に強い効果があり、

頭部(最上部)は強壮作用に優れていると言われています。

 

 

中国最古の薬物書である「神農本草経」にも中薬(滋養強壮、虚弱なものにむいている生薬であり、毒にもなりうるもの)として記載があり、女性の不妊症に効くとされています。

(この神農という中国の神さまの話や、神農本草経も面白いのですが、それはまた次の機会に…)

他にも

・補血

・行血

・潤腸

・調経

と、読んで字のごとく、

血を補い、流れを良くし、腸を潤し(便通を良くする)、経絡を整えるという作用があります。

 

基本的な性質は温(身体を温める)、

体力がなく、やせ気味、冷えが強い方に向いていて、比較的穏やかな漢方薬です。

具体的には

生理痛、生理不順、PMS、更年期障害、冷え、貧血、肩こり・腰痛などで使われます。
血を補う生薬ですので、現在お悩みがない方でも、

生理、妊娠、出産、授乳、更年期と一生を通して血の巡り

との付き合いを大事にしなければいけない女性にとって、

長い人生のどこかでお世話になる生薬かもしれません。
「女性の強壮剤」のようなイメージで覚えてみてください。
「当帰」が含まれている漢方で有名なのが

「当帰芍薬散」ですが、こちらも女性のお悩みに効く漢方で、

排卵促進、子宮への作用、血流改善などの効果が認められています。
穏やかでじんわりした効果の現れ方が特徴ですので、

できれば漢方医さんと相談しながら気長に服用してみてください。

 

いかがでしたか。
漢方薬は特別な指示が無い限り、空腹時にぬるめの白湯で服用、が基本です。
また、市販のものなどを試しに飲んでみるのはいいかもしれませんが、

「体質を変えよう」という考えのもとに漢方薬を始めるのであれば、

やはり漢方医さんなどの専門家にかかったほうが良いでしょう。
自己判断で飲んだり飲まなかったりを繰り返すのも「効かない」もとです。

漢方薬の良いところは、

 

漢方独自の考えに基づき、脈診、腹診、舌診、問診などから

「証」をたて、個人に合わせたお薬を処方をしてくれることです。
(漢方薬のかわりに鍼やお灸を用いるのが鍼灸です)
できれば漢方医さんを探して、ご自身の身体にあったものを処方してもらってくださいね。

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