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◇東洋医学の世界~気・血・津液と精~前編◇

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東洋医学でよくいう「気の流れ」。

この「気」って何のことでしょう。

「気をしっかり持って」、「元気を出して」、「気力」、「気合」など、

何気ない普段の会話のいろいろなところで使われています。

またヒーローたちの必殺技として繰り出される「〇気だま」や「波〇拳」なども、

「気の塊が手から出ている…はず!」となんとなく認識され、

受け入れられている方が多いのではないでしょうか。

こんなふうに、「気」とは目には見えないものだけれども、

日本人の世界にしっかり根付いているものだということがわかります。

今回は、この「気」についてと「気」と密接な関わりがある

「血・津液・精」について知っていただけたらと思います。

東洋医学では、人体を構成し生存を維持するための要素として

「気(き)・血(けつ)・津液(しんえき)」の三つを重要視します。

そして、それらの働きを支える「精(せい)」の存在があり、

人体はさまざまな生命活動をなしていくことができるとされています。

これら四つの基本要素がしっかり生成され、

体内を正常に循環し各臓器や器官が正しく働くことで

「正気」が充実し健康でいることができると考えているのです。

目次

【最初にまとめ】

「気・血・津液・精」は少し難しい内容です。

そこで、今回は初めにまとめてみたいと思います。

①すべての物は「気」の集まりでできている。人も例外ではない。

②「気」は生命活動の根幹をなす、いわばエネルギー源であり、

分布されている場所と働きにより

原気(げんき)

営気(えいき)

衛気(えき)

宗気(そうき)

の四つに分類される

③「血」は現代医学で言うところの「血液」と似ており、

脈管の中を流れる赤い液体のことで、

全身を巡りながら各器官・各組織に栄養を供給する役目を担っている。

④「津液」は血以外のすべての体液のことで、

粘液、唾、よだれ、鼻水、汗、涙などが

含まれている。主な働きは身体を潤わせることである。

⑤「精」は生命活動を支える活力の元のようなものであり、

両親から受け継ぐ先天の精(せんてんのせい)

と生まれた後に自分で作り出す後天の精(こうてんのせい)の二種類がある。

⑥「気・血・津液・精」のそれぞれが多すぎても少なすぎても、

またどれか一つが滞っても全身に不調をもたらす。

⑦東洋医学では、この「気・血・津液・精」のアンバランスが不調の要因の一つになるとし、

その原因を見つけ、それを整えることを治療目的の一つとしている。

いかがでしょうか。

「もうすでに難しい」「だいたいわかった」「つまらない」という方は、

残念ですがここでサヨナラしましょう。

いつか、読む気になってくださったら嬉しいです。

ここから先は、「東洋医学をもう少し知りたい」、「興味がある」、ま

たは「ヒマだから読んでもいい」という方だけお進みください。

【気とは】

上記に挙げた中でも、「気」は最も特別であり、東洋医学ならではの概念です。

気の密集によりすべての万物は創造され、気の変化によりあらゆる現象が変化するとされています。

人間の身体も気で構成されているので、気の働きが生命活動に影響を与えると考えます。

そもそも気がなければ人は存在すらしないということになります。

先ほども述べたように、気は四つに分類されます。

原気(元気)…腎で作られ、四つの中でもっとも重要でもっとも基本的な気であり、

全身のあらゆる場所に分布します。人体の各臓器、各器官は原気によって機能し、

原気が充実すればするほど健康であるとされています。

原気は生まれたときに両親から受け継いだ先天の精が変化したもので、

生まれてから後に作られていく後天の精により補充されます。

営気…栄養分が多く、脈管内に存在します。血を押すように動かし、

血とともに各組織を巡り栄養を供給します。

水穀の精微(飲食物から作られる栄養、エネルギーの塊)から作られ、

常に血とともにあることから営気と血の二つを合わせて営血と呼ぶこともあります。

衛気…全身に分布し、気の中で最も早く活発に動くことが特徴です。

身体の外側面、皮膚表面にも分布し、外からの邪気(病や体調不良を引き起こすとされる悪い物)

と戦い身体を守ります。

また、汗腺の開閉をして体温調節をし、

身体の内部では臓器を温める働きもあります。

衛気もまた水穀の精微(飲食物から作られる栄養、エネルギーの塊)から作られます。

宗気…呼吸で吸い込んだ清気(大気の中の澄んで清浄な気)と

水穀の精微(飲食物から作られる栄養、エネルギーの塊)から作られ、

胸中に蓄えられます。呼吸と血の運行を押し進める働きがあります。

見る、話す、動くなどの動作にも関係が深いため、動気とも呼ばれます。

【気の作用】

気には5つの作用があります。

推動作用…動かし、運ぶ。血や津液を全身に巡らせ、

臓腑と経絡を働かせる。体を成長させる役割。

温煦作用…温める。全身と各組織を温めることで正常な働きを維持し、

体温を維持できる。

防御作用…体表面を覆って、外邪の侵入を防ぐ。

体内に侵入した場合は戦って追い出す。

固摂作用…体液が漏れないようにする。血が出ないように、

また汗、尿、よだれなどが必要以上に出すぎないよう調節する。

気化作用

①化生させる。気、血、津液、精を新たに作り、

精から気に、精から血に、血から精へと転換(化生)する。不足している気、血、津液、精は化生によって補われる。

…②水分を代謝し、排泄する。津液を汗として気化させることで体温を維持したり、

余分な水分を尿として排泄したりする。

【気の乱れによる症状】

人間の身体は気で構成されていますので、当然、

気の流れの乱れは体調に深く結びついます。

代表的なものを挙げてみます。

気滞(きたい)…気の流れが滞り、各器官の働きに偏りがでる。

主な症状は、イライラ、不眠、精神不安定、腹部の張り、

または張って痛い(腫痛)げっぷ、おならが増えるなど。

気虚(ききょ)…気が不足し、各機能が低下する。

主な症状は、倦怠感、すぐに疲れる、動機・息切れ、

自汗(何もしなくても汗が流れる)、食欲の低下など。

気逆(きぎゃく)…気が逆行し、各器官が逆の働きをする。

主な症状は、強いイライラ、めまい、呼吸器系の症状、

胃の不快症状(吐き気、逆流性食道炎など)など。

このように、気は人の身体で起こるありとあらゆることと密接に関わっています。

現代の西洋医学や解剖学、生理学を少しでもご存知の方ならば、これらのことは脳や自律神経、

それぞれの内臓の働きであることはお判りであると思いますが、

東洋医学では、すべて「気」の働きが根幹にあってこそなせることとして考えます。

現代の鍼灸師は東洋医学と並行して解剖学や生理学、臨床医学などを学び、

その両方の観点から人の身体を診るよう修練を積んでいきます。

【気の乱れによる症状】は意外といろいろな方に現れます。

少しでも思い当たることがありましたら、ぜひご相談ください。

さて、ここまでお読みくださってありがとうございました。

後編の「血・津液・精」についてもぜひお読みください♩

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