◇東洋医学の世界~気・血・津液・精~後編◇

2020.05.07

東洋医学の世界と題して、前編では「気」について書いてみました。

 

人を含めたこの世のすべてのものは気の集まりでできており、

生命活動の根幹をなすもので、人が存在するにあたっては必要不可欠なものであるということは

お判りいただけたかと思います。

 

 

 

今回は気以外の重要要素である

「血(けつ)、津液(しんえき)、精(せい)」

についてお話していきたいと思います。

 

【血とは】

血(けつ)は全身の各器官に栄養を与え、

滋養させる働きを担っています。

血液の働きと非常に似てはいますが、

血液と同じものではありません。

水穀の精微(飲食物から作られる栄養、エネルギーの塊)の一部が脈管に入り、

それが気の作用で血になると東洋医学では考えます。

 

 

 

 

 

【血の作用】

推動作用…心(しん・心臓と似たような働きをする東洋医学独自の器官)

による全身に血を送り出すポンプ作用。脈管の中を気(営気)に押されるようにして流れ、

酸素や栄養を各器官に届ける。

 

滋潤・滋養作用…全身の組織を栄養しつつ潤す。

 

蔵血作用…血は肝(かん・肝臓と似たような働きをする東洋医学独自の器官。

自律神経中枢のような働きもする)にしまわれ、肝で送り出す量を調節する。

 

 

 

【血の乱れによる症状】

血の材料である水穀の精微は飲食物から作り出されるため、

消化吸収に関わる問題があると症状が現れやすくなります。

また、女性の場合は生理周期によって症状が現れたり、子宮や卵巣、

生理のトラブルがあったりしても症状が現れることがあります。

血の乱れによる症状も気と同様いくつかありますが、

ここでは代表的な物を挙げてみます。

 

 

血虚(けっきょ)…血の不足、または血自体の機能低下でおこる。

       主な症状は動悸、めまい、手足の冷え、

                            顔色の悪さ、肌や髪などの乾燥、月経量が減るなど。

 

血瘀(けつお)…血に熱がこもる(血熱)、あるいは血が冷える(血寒)などして、

                          滞り固まりのようになったものを瘀血(おけつ)という。この瘀血ができた状態を血瘀という。

      主な症状は刺痛が同一部位におこる、生理痛、子宮筋腫、便秘、顔のくすみ、クマなど。 

 

【津液とは】

津液(しんえき)は血以外のすべての体液(粘液、唾、よだれ、鼻水、汗、涙など)

のことで、水穀の精微(飲食物から作られる栄養、エネルギーの塊)

が気化してできた液体のことを言います。

臓器と臓器の隙間である三焦(さんしょう・西洋医学の臓器に似たものはなく、

消化吸収や津液などの運搬路として使われる。東洋医学ならではの器官)

を主な通り道として、全身を循環します。津液は津(しん)と液(えき)の二つに分けられます。

 

【津液の作用】

津液の内、津はさらさらとして澄んだ液体で、組織を潤します。

液は濁って粘り気があり、髄にたまり、関節の動きを滑らかにします。

頭部に上った液は脳に栄養を与え、保護する役割があります。

津液にも血ほどではなくとも栄養があるとされており、

五液(涙、汗、よだれ、鼻水、つば)となってそれぞれに対応する器官を潤し、その働きを助けています。

 

 

 

【津液の乱れによる症状】

津液の乱れには不足と停滞があります。

 

不足…水穀の精微から作られる津液が不足するということは、

   食事量が少なく栄養が足りない場合や、消化や吸収に関わる脾(ひ・膵臓に近い働きをする東洋医学独自の器官)や

   胃(い・胃に近い働きをする東洋医学独自の器官)の働きの不調があると考えられます。

   主な症状は、関節のこわばり、髪や肌の乾燥、声枯れなどが挙げられます。

 

停滞…脾だけでなく、水の代謝をつかさどる肺(はい・肺に近い働きをする東洋医学独自の器官。

   水の代謝もつかさどる)の働きが乱れると、津液の停滞が起こります。

   余計となった水分のことを湿といい、主な症状として、下痢やむくみなどが挙げられます。

   また、湿が粘性をもち、集まった物がのどや肺に集まったものを痰といい、痰は気や血の停滞も起こすとされています。

 

【精とは】

生命活動を支える活力の元であり、

生まれた時に両親から受け継ぐ先天の精と生まれた後     

に水穀の精微(飲食物から作られる栄養、エネルギーの塊)から

自分で作りだす後天の精の二種類があります。

先天の精は腎(じん・腎臓と似たような働きをする東洋医学独自の器官。

成長や生殖機能とも関わりが深い。)に貯蔵されるため腎精とも呼ばれており、

持って生まれた量が増えることはなく、どんどん消費されていきます。

逆に後天の精は、生まれてからのちに自分で増やしていくものであり、

この後天の精を増やすことで先天の精の消費を補っていきます。

精が枯渇すると生命活動が支えられなくなる、つまり死を迎えるということになります。

 

 

【精の作用】

黄帝内経(こうていだいけい・古代中国の医学書、鍼灸師のバイブル)には、

精は男性32歳、女性28歳の時に全盛期を迎えると書かれています。

男女ともにその年齢を超えると精の減少が始まります。

 

精の減少を緩やかにすることが生命活動を充実させる、つまり老化を穏やかにし、

健康寿命を延ばすことに繋がると東洋医学では考えます。

先天の精は消費されるだけですので、後天の精をいかに効率よく補っていくかが

生命活動の充実には重要であるといえます。

 

先天の精…発育、生殖、エイジングに関わる。親から子へと受け継がれ、

                    組織や器官を作り、身体を成長させていく源になる。

 

後天の精…生まれてからのちに、自分で作り出す。胃や脾の働きにより、

                     水穀の精微から作り出され、臓腑に運ばれ生命活動を支えるが、一部は腎に入り先天の精を補う。

 

【精の乱れによる症状】

精の乱れは主に不足です。精の場合は多すぎる、ということはありません。

 

先天の精の不足…成長の遅れ、小児喘息、小児アトピー、夜尿症など。

        ※後天の精で補われることにより、治る、または改善することあり。

 

後天の精の不足…老化(髪や歯が抜ける、健忘、耳が遠くなる、足腰が弱る、骨粗しょう症など)、

                                 不妊、腰痛、冷え、頻尿など。

 

以上、血、津液、精について説明してみました。

 

 

 

気(前編)、血、津液、精のどれが乱れても人の健康はもちろん、

生存すらうまく維持することはできない、

ということはなんとなくでもおわかりいただけたのではないかと思います。

 

さて、皆さんは、

気、血、津液、精のすべての項目に共通して出てきたワードがあることにお気づきでしょうか。

 

そうです、「水穀の精微(すいこくのせいび)」です。

 

水穀の精微とは、先ほどからしつこいぐらいにお伝えしているように、

飲食物から作り出される栄養でエネルギーの塊のことです。

食べたものから水穀の精微を作り、

そこからさらに気、血、津液、精に変換し、身体の各器官をしっかり巡らせ、

正常に働かせる、これが東洋医学的な人の健康のすべてと言っても過言でありません。

 

しっかり巡らせることと、各器官を正常に働かせることは鍼灸が得意とするところですが、

気、血、津液、精の乱れによる症状で当てはまる項目があった方は、

まずは日ごろの食事を振り返ってみてください。

身体の不調は気、血、津液、精の乱れかもしれませんが、鍼灸施術を続けても、

ご本人の食生活が変わらなければ、改善することは難しくなります。

 

「よい食事→よい水穀の精微→気、血、津液、精の充実⇒健康」

ということです。

 

 

気、血、津液、精の重要性についてお読みくださった皆さんには、

ぜひ一度見直してみていただきたいと思います。

 

もちろん、鍼灸施術についてはいつでもご相談ください♩

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