◇◇いい香りで気分転換~お香編~◇◇

2020.07.09

 
 

〈お香の歴史〉

お香は紀元前3000年以上前から、魔除けや催眠などの宗教的なアイテムとして、医療や美容、健康、また虫よけなどの生活必需品として世界の各地で使われていた歴史があります。

日本書紀には「漂着物の木片に火をつけたら非常に良い香りがしたので朝廷に献上した」というお香の伝来についての記述がありますし、平安時代の貴人たちの衣装にはお香による薫りが焚き染められていたことは知られています。

室町時代には一定の作法や所作をもって、香の持つ雰囲気や微妙な違いを聞き分ける感性の芸道、「香道」が一部の支配階級で発展を遂げていきました。

 

現代でも、柔軟剤や洗剤、消臭剤、ルームフレグランス、ボディ用品など香り産業は盛んですが、日本人は昔から香りを楽しんでいた、香りは教養の一つであったことをさまざまな書物からうかがい知ることができます。

※全国薫物線香組合協議会は、日本書紀の記述から、香木が伝来したのは4月と考えられること、また「香」の字を分解すると「一十八日」になることから、これをあわせて4月18日をお香の日としています。

 

 

〈お香の原料〉

お香の原料は主に香木の皮や葉、根、樹脂などを乾燥させたものですが、オスのジャコウジカの香嚢から採れる分泌物を乾燥させたもの(麝香 じゃこう)や、マッコウクジラの腸内にできる結石(竜涎香 りゅうぜんこう)、などという「どうして匂いを嗅いでみようという気になったのだろう…」という変わったものもあります。この二つはお香だけでなく、香水の原料としても使われていますが、もちろんどちらも大変貴重なものです。

 
 

〈お香の効果〉

香りは嗅覚を通じて脳へ影響も与えることがわかっています。

お香の香りにより、脳波がα波(鎮静)を示す、エンドルフィンの分泌を促すなどとして、気分を鎮め、穏やかにし、思考力がアップするなどの作用が働きます。

香りの種類によっては脳波がβ波(興奮)を示し、気分をリフレッシュしたり、やる気を起こしたりします。

また、北宋の詩人、黄庭堅(こうていけん)は「香の十徳」としてお香の特徴や効能を漢詩にしています。

  1. 感格鬼神…感性は鬼のように研ぎ澄まされ

  2. 清浄心身…心身を清らかにし

  3. 能除汚穢…よく穢れを取り除き

  4. 能覚睡眠…よく眠りを覚まし

  5. 静中成友…静けさの中に安らぎをもたらし

  6. 塵裡倫閑…忙しい時でも心を和ませる

  7. 多而不厭…多くとも邪魔にならず

  8. 寡而為足…少なくても十分足りる

  9. 久蔵不朽…年月を経ても朽ちることなく

  10. 常用無障…常用しても害はない

日本には一休さんでおなじみの一休禅師によって広められたと言われています。

 

 

〈お香の種類〉

今では、お香も様々な草花や果実などからも作られていますが、お香本来は天然香木の香りを燻らせ、楽しむものですので、今回は代表的なものを三つに絞って書いてみます。

 
◇沈香 じんこう◇

ベトナムやカンボジア、ミャンマー、インドネシアなどの東南アジアが主な産地である、ジンチョウゲ科ジンコウ属の沈香木が虫や動物、天候などで傷つけられたり、朽ちて土中に埋没したりした時に、その傷を修復、保護するために出てくる樹液に菌類やさまざまな環境が作用し、長い年月をかけて蓄積されていったものを取り出して乾燥させたものが沈香の原料です。

原木自体には香りがなく、取り出した香木に熱を加えることで芳香を放ちます。

また、年月がたったらというわけでもなく、さまざまな環境、作用が揃わないと良い香りにはならないのだそうです。

沈香には香りの種類がいくつかあり、その違いを楽しむこと、聞き分けようとしたことが香道の始まりと言われています。

読んで字のごとく、沈香は比重が大きく水に沈みます。原木自体は軽いものですが、樹脂が沈着することで比重が増し、水に沈むようになります。それだけ香る成分が多いということですね。

天然の沈香木は、年々手に入りにくくなっており、また高価であるため、最近では植樹された沈香木に人工的に傷をつけたり、化学香料を投入したりして栽培された栽培沈香が流通しています。

もちろん天然物にはかないませんが、中には質の良い栽培香木もあるようです。

 
◇伽羅 きゃら◇

沈香の最高級品を伽羅と呼びます。

したがって、原木は沈香と同じジンチョウゲ科ジンコウ属の沈香木ですが、伽羅クラスの香木が発見されるのはベトナムのごく狭い範囲の地域に限られています。

 

沈香はもともと産地や香りの違いをもとに、いくつかにランク分け、種類分けがされています。

その中でも別格のものとして名前を与えられているのが伽羅です。

沈香と伽羅の違いとして一番有力な説は、樹液の質の違い、樹液の経年変化の違いとされていますが、同じ木でありながらどうして香りに差ができるのか、現在でもあまりはっきりと解明されていません。

中には、伽羅は沈香の最高級品なのではなく、そもそも沈香とは異なる原木の種類なのではないか、という説もあるようです。

伽羅は非常に貴重で高価な物として、古くから時の権力者などに愛されていたため、当時から世界中で高値で取引がなされていました。

そのため、盗伐、乱伐がすすみ、今では伽羅の発見は大変難しく、一キロで数万円とも数十万円とも言われています。

先ほど、沈香は天然栽培がすすんでいると書きましたが、伽羅だけは人工栽培には成功していません。

 
◇白檀 びゃくだん◇

英名のサンダルウッドとしても知られている白檀は、ビャクダン科の半寄生の熱帯性常緑樹、半寄生なので、自身だけで生きていくことはできません。

主な産出国はインド、インドネシアです。

オーストラリア、ニュージーランド、ハワイ、フィジーなどにも自生していますが、香りが弱いと言われています。

特にインドのマイソール産のものは最高級品とされています。

残念なことに、白檀の木も盗伐、乱伐がすすみ、また人口的な植林、栽培が困難なため、一時は絶滅の危機にありました。

今は各政府により、伐採の制限、輸出の規制がかけられていますが、品質の良い白檀の香木も入手が困難になっているそうです。

白檀は沈香や伽羅と違い、熱を加えなくてもその木事態が香りを放つので、香木としてそのまま用いられることも多いですし、木工品の材料としても使われています。

また白檀オイル(精油)の主成分、サンタロールには鎮静、殺菌、利尿、抗炎、消毒、催淫作用があるといわれています。

これだけの作用があれば、アーユルベーダで万能薬として使われているのもよくわかりますね。

 
 

〈終わりに〉

現在、私たちがお香として親しんでいるものは、スティック状やコーン状、渦巻き状のお線香がほとんどで、先端にそっと火をつければ自然と細い煙が立ち上るようになっています。

香木の破片のようなものはなかなかお目にかかる機会すらありませんが、もしも香木が手に入った場合、火をつける場合には注意点がありました。

香の十徳には多くても邪魔にならないとありましたが、やはり適量があります。

「馬尾蚊足」といい、馬の尾や蚊の足程の細く切った香木の破片を焚いて、上品な細い煙が立ち上るように燻らせる、これがお香の適量であり、煙の姿を楽しむこともできるそうです。

 

思うように外に出られない今だからこそ、好きな香りで心を養い、おうち時間をより楽しいものにしてみてはいかがでしょうか。

 
 

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