~急な冷え込みで乱れる自律神経と“脾”のケア~

暑かった夏が終わったと思ったら、あっという間に朝晩が冷え込む季節になりましたね。
「食べると胃が重い」「食欲がわかない」「お腹の調子が落ち着かない」…最近こんな症状を訴える患者さんが多くいらっしゃいます。
季節の変わり目には、自律神経が乱れやすく、特に胃腸に不調が出る人が増える時期です。
東洋医学では、これを「脾(ひ)」と「胃(い)」のバランスが崩れているサインと考えます。
では、なぜこの季節に胃や腸が弱りやすいのでしょうか?
そして、どうケアすれば穏やかに過ごせるのでしょうか。
「脾と胃」は体の土台をつくる臓
東洋医学でいう「脾」は、現代でいう“消化・吸収・代謝”を司る働きを持ちます。
食べたものをエネルギー(気・血・水)に変えて、体の隅々まで届ける、つまり「生命の土台」となる臓です。
そして「胃」は、脾とペアで働きます。
イメージとしては胃が食べ物を受け取り、脾がそれをエネルギーに変える感じです。
この二つがスムーズに働くことで、私たちは元気に過ごすことができるのです。
しかし季節の変わり目、特に今年のように夏から急に冷え込んだ年は、この「脾と胃」が大きな影響を受けます。
急な冷え込みが「脾胃」を弱らせる理由
夏のあいだ、体は強い陽気(熱)にさらされています。
汗をかき、冷たい飲み物を摂り、冷房の中で過ごすことで、知らず知らず内側に“冷え”をためたままになっている人も多いのです。
そこへ今年のような急な冷え込みがくると、体はうまく温度変化に対応できず、胃腸に血流が回らなくなります。
さらに寒暖差によって自律神経が乱れ、胃腸の動き(蠕動運動)が不安定になり、
その結果、
・胃もたれや食欲不振
・下痢や軟便
・お腹の張り・ガス
・朝に胃が重い
・なんとなく元気が出ない
などといった「脾胃の虚(きょ)」の症状が現れるのです。
「気」が巡らないと心にも影響が
脾胃が弱ると、体にエネルギーを生み出せなくなります。
そのため疲れやすく、気分も落ち込みがちになることがあります。
東洋医学では、「思い悩む」「考えすぎる」ことも脾を弱らせるとされます。
つまり、胃腸の不調は心のストレスとも深くつながっているのです。
「最近、考えごとが多いな」「気を遣いすぎて疲れる」…
そんな時期に胃腸の不調が出ているなら、それは心と体の両方が“お疲れサイン”を出しているのかもしれません。
胃腸を整える東洋医学的セルフケア
「冷え」を取り、胃を温めることが基本です。
お腹や足元の冷えは、脾胃の大敵。
まだ季節的に早いのでは?と思われるかもしれませんが、腹巻きやカイロで“おへその下”を温めましょう。
食事はスープなど温かい汁物を取り入れ、冷たい飲み物はもちろん、生ものも控えましょう。
特におすすめの食材は:
・しょうが
・山芋
・かぼちゃ
・なつめ
・穀類
・味噌・発酵食品など
これらは「脾」を補う働きがあります。
その他、
・「よく噛む」こと
忙しい日ほど、食事を早く済ませてしまいがちになります。
けれど、噛むことは胃腸の働きを助け、脾を元気にする大切な行為です。
一口ごとに「今、体にエネルギーを取り入れている」と意識してみましょう。
・「朝の白湯」
朝は白湯から始めてみましょう。
脾胃を温め、胃腸の働きをスムーズにします。
・「ゆっくり呼吸」で脾を助ける
呼吸と消化は深くつながっています。
深呼吸をすることで副交感神経が働き、胃腸の動きも整います。
気分が落ち着かないときほど、ゆっくり息を吐いてみましょう。
鍼灸でできること
東洋医学の治療では、脾胃の気を整え、内側から体を温めることを目的にします。
冷えやストレスで滞った気を流すことで、自律神経のバランスが穏やかに整い、胃腸の働きも自然に回復していきます。
カラダキュアでは、基本コースなどに含まれる体質調整鍼灸で手足や、お腹、手、または背面の経穴(ツボ)を使って整えていきます。
ここでは、脾胃を整えることのできるセルフ灸に向いている代表的な経穴をご紹介します。
足三里(あしさんり)
・胃腸を整える万能のツボ
・膝のお皿下の外側の窪みから指4本分下

中脘(ちゅうかん)
・胃のつかえを取る
・おへそとみぞおちの真ん中

関元(かんげん)
・冷えを改善し、体の中心を温める
・おへそから、指4本分下

詳しい場所はスタッフにご相談ください。
脾と胃を労わるまとめ
季節の変わり目に胃腸が不調になるのは、体が環境の変化に対応しようとしている証です。
温め、十分に休ませることが胃腸だけでなく、今の季節の体調管理には必要になります。
食べたり飲んだりが増えてくる季節です。
今からしっかり整えて、冬の美味しい物を楽しみましょう。
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