季節の変わり目、特に秋から冬にかけて、
「なんとなく疲れが取れない」
「冷えが強くなった」
「抜け毛や肌の乾燥が気になる」
そんな声をよく伺います。
東洋医学では、冬は「腎」を養う季節とされ、腎の状態が冬の体調や翌年の調子に大きく影響すると考えられています。
今回は、腎の役割と冬に出やすい不調、毎日できるセルフケアをご説明します。
「腎」ってどんな働き？
東洋医学でいう「腎」は、西洋医学の腎臓だけでなく、身体の根本的なエネルギー（生命力）や成長・生殖・骨・髪・耳の働き、そして体温調節や水分代謝などをつかさどる重要な概念です。
特に以下のような現れがあるときは、腎の元気が低下しているサインかもしれません。
•年中または慢性的な冷え、特に腰〜足元が冷える
•疲れやすく回復しにくい
•抜け毛・白髪の増加、爪や骨の弱りを感じる
•夜間頻尿や下痢しやすいなどの水分代謝の乱れ
•生殖機能やホルモンバランスの乱れ（生理不順・不妊など）
冬に腎を大切にする理由
自然界では植物がエネルギーを根にため込むように、人の体も同じで「温存・蓄える」時期です。
無理に活動を続けたり冷たいものを過剰に摂ると、腎のエネルギー（精）が消耗してしまいます。
腎が弱ると、冷えやすくなるだけでなく、肌や髪の潤いが失われやすく、翌春の体調不良につながることがあります。
冬はしっかり睡眠をとり、身体を冷やさず過ごすことが大切です。
食事でできる腎ケア
腎を補うためにおすすめの食材は、「温めるもの」「黒い食材」「栄養価の高い根菜類」です。
毎日の食事に取り入れやすいものをいくつかご紹介します。
•黒ごま、黒豆、黒米、ひじき、わかめ（ミネラル・潤い補給）
•山芋、里芋、長芋（消化を助ける、体を補う）
•くるみ、松の実（良質な脂質で体を温める）
•しょうが、にんにく（冷え対策に）
•温かいスープや雑炊（胃腸を冷やさない）
冷たい飲み物や生野菜の大量摂取は控えめにし、常温〜温かい飲み物を意識してみてください。
日常でできるセルフケア
忙しい方でも続けやすい、具体的なセルフケアをご紹介します。
1.足首を冷やさない
靴下は薄手でも二重にしたり、足首を覆う靴を選びましょう。
2.足湯（10〜15分）を習慣にする
血流が良くなり、全身の冷えが和らぎます。ぬるめ（38〜40℃）が続けやすいです。
3.お灸・温灸でツボを温める
おすすめのツボ：太渓（内くるぶしとアキレス腱の間）
4.軽いストレッチや腰まわりのほぐし
座りっぱなしの方は特に、股関節周りや腰の緊張をほぐすことで血流改善に役立ちます。
5.夜更かしを控え、睡眠を優先する
睡眠は腎を回復させる大切な時間です。
22時〜2時の睡眠リズムを意識すると良いでしょう。
まとめ
冬は「温存・蓄える」季節です。
腎を大切にすることで、冷え・疲れ・乾燥などを予防し、肌や髪のツヤ、翌春の体調まで整いやすくなります。
日々の食事・温めケア・睡眠を見直してみましょう。
冬を健やかに乗り切り、内側からの美しさを育てていきましょう。
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